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墨田区両国亭は非日常的日常劇場

2024年08月01日 | カテゴリー: 山木康世 

楽屋に入るなりキッチンの壁に張り紙が。
「楽屋にネズミがいます・・・・・・・」
これは近頃衝撃的な警告だ。その昔には、北国ではゴキブリよりも日常的にネズミがあちこちを徘徊していた。ネズミ駆除のために親たちは苦労していたようだ。夜中に天井を横切る足音には胸がざわついた。我が家には顔の見えない他者が住んでいる。人が寝静まった頃、食べ物のある台所付近に夜な夜な集まってくる。生き延びるのに必死だ。
翌日ネズミ捕りに掛かったまるまる太ったネズ公。親は無情にもドブに網ごと沈めて御臨終。今考えればなんとも無惨な光景を子どもたちは見ていたのだ。そして小さな生き物であるが、死というものを間近に見ていた。
今どきは猫もいなくなってネズミもいなくなったような世の中である。猫にしてみればネズミの捕り方を知らないうちに、オイラも役所の人間に捕まってしまったよ。
そんな物騒ではあるが必死に生きているネズ公の情報を垣間見た両国亭の日。しっかりゴミは持ち帰りましょう。
この日3月以来の田中くんがやってきた。卒論に山木康世を取り上げて嘘のような3月の日だった。取材も受けてあれから4ヶ月も過ぎていた。卒論も書き上げて就職も決まったと晴れ晴れの顔で両国亭に来て報告してくれた。やったね田中くん。
長いこと生きていれば面白いことにぶち当たるもんだ。予期せぬドラマは尽きることなく飽きない。
両国亭は一寸した劇場である。歌舞伎の配色の幕も用意されていてお囃子とともに2時間は始まる。時折表通りを走る車の音や救急車の音も特別ではなく日常なのである。
梅ヶ谷親方も静かに見守っている客席との距離感も弾き語りには丁度いい。高座も弾き語りのようなもの。下げや落ちのある日常は生活にハリややる気を起こさせる。猛暑の中長く生きていれば退屈や独りよがりになりがちである。
如何だっただろう、お客様に活力や朗らかさが届いただろうか。お陰様で当方は気の良い7月最後の日となりました。又お会いしましょう。猛暑に負けない体力気力で後半戦を乗り切りましょう。

弾き語り高座2時間1本勝負


「わたしの辞書に夏バテという言葉はない」


さて、あと片付け


田中氏の卒論で山木康世はいかに分析されているか

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