となりの電話 山木康世 オフィシャルサイト

三陸を救え!

2011年03月16日 | カテゴリー: ミュージック・コラム 

しばらくの間、書く気も話す気もなくなっていた。
町がまるごと一つ目の前で数分で崩壊して行く。テレビの前で思考停止ゼロで見入っていた。これは映画ではない。今現実に起こっている事件なのである。歴史の発端なのである。

こんなことが起こって良いのだろうか? 今までの我々の築いてきた哲学やマナーや幸福感など一切お構いなく大量の水は数分でやってきて去っていった。すでにこの世にいない父も母も祖母も祖父も想像できない現実の姿を我々は目撃してしまった。

おそらく地球上では何度もこのような大地と水の営みは行われてきたのだろう。
しかしそれを目の前で世界中の人が目撃するなどということはなかったはずだ。何もできずにただ見ていることしかできない。水がなくてはすぐに命を奪われる、か弱い人間。
しかし水ほど怖いものはない。まさに両刃の刃である。

1000年に一度の大惨事、よりによって集合体で襲ってきた。
非常に穏やかに優しく振る舞ってきた日本人、日本国が非常な力で根こそぎ崩壊された。前もって宣言することもしないで大自然の宣戦布告、なすすべもなく町が無くなってしまった。家もお墓も信号機もポストも学校も犬も猫も人間も花も木々も役場も警官も消防士も車も電車も車いすも、大事な大事な心も全部持って行った。
すべてをゼロにしてしまった。否ゼロ以下にしてしまった。

生き延びた人たちの心の声を我々は静かにして耳を澄まして聞く努力が必要だ。そしてできるところで手をさしのべる。
現場から遠く離れた僕すら茫然自失の状態、現地の人たちの整理しきれない気持ちをくみ取ろうと努力しよう。
そして原発も翻弄されている。必死の努力で納めようとしている。

戦後焼け野原から復興した日本、日本人、我が親たちの世代。
僕はネジを巻き直して今一度自らを見つめ直している。
三陸を救え!

(山木康世)