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栃木県佐野市/ぎゃらりー酒蔵楽に人魂と音魂と弁天様

2025年05月18日 | カテゴリー: 山木康世 

佐野は朝から雨である、それも音を立て地面にしぶきを上げている。当分止みそうもない温い雨である。
金ピカの佐野厄除け太子堂の鐘楼を思い出すなぁ。42歳の大厄除けに東京から車を飛ばして来たときには、もっと地味だったな。
数年前の佐々木幸男と二人ジョイントライブ。思い出すな。元気だろうか。いつの間にか二人とも金ピカに。でもいいや、世間にはいろいろな事情があるってもんだ。
今回は出流山(いずるさん)の湧き水の近くの参道へ続く山道で出会った琵琶を弾く弁天様への感謝を込めたYAMAKINGである。偶然の出会いであったが、大きな旗にして全国へ持ち歩いたほどのインスピレーション。この直感は大事である。滅多に当たらないが、脳内にこだまして次のステップの足掛かりとなる直感。これで半世紀以上来たと思っている。
ふきのとうの頃は、関わりあう人も同じ世代の人が多かった。事務所、レコード会社、地方のイベンター、お客様などみんな同じ時代を同じ感覚で生きていた。それが時間とともに徐々に違ってきて家族ができて、さらに広がってゆく。そして永遠の別れという人も出てきた多様性の同世代人の行方。
「ぎゃらりー酒蔵楽」は600年ほど前に創業されて、栃木で最古の酒蔵として営んできた由緒ある酒蔵である。会場となる蔵は米蔵であったという。それを20年ほど前に改築、梁はそのまま生かして床を少し持ち上げて響きのいい会場に仕立て上げたという。程よい床からの響きで音響もナチュラルリバーブが効いてイイカンジである。天井は気持ちがいいほど高い。
お客様が傘をたたんで暖簾をくぐってやってくる。本当にこの雨の中ありがたいことである、
♪酒を飲むなら美味い酒 今宵時間を忘れて♪
オープニングは米蔵へ、酒林へ敬意を表しての「我が友よ」である。CDアレンジをした鹿児島の彼もいつしか向こうの人となった。
そしてリハの時と全く違う響きに気が付き修正する。そうだ大勢の集まったお客様の服、帽子、髪の毛、自らの重さが作用して音の響きを吸収したのである。このことはプロとしてやってきた手前、場内における変化を何度も体験、体感してきた。しかしLiveは生き物、生ものであるので状況次第で予測不可能なことがある。
昨日とは同じ人間であるが、一晩寝て雨も降っていて、細胞も違っている。ミトコンドリアも違っている。思考や魂も若干変化している。それがYAMAKINGSONGSに微妙な味付けをして披露される。蔵出しのような感じか。それが面白くて半世紀作り続けてきた一番の動機だろう。
自分のため、自分が面白く今日を元気で生きるため、決してノスタルジーで商売している訳ではない。時々顔をのぞかせるほどの懐古、しかし2時間の蔵出し味付けには必要不可欠な要素ではある。
一同が退けた会場から余韻をいただく。そして暖簾の向こうの外は雨も上がっていた。
まだ陽も高い。ひとっ走り新潟県三条市へ向かおう。この分だと4時間ほどで着く。

お客様との一体感青感じたライブでした


会場入り口です


栃木県最古の酒蔵


蔵人のアルバイトでもするか


庭も素敵。売店の甘酒ソフト、うまいっす


高速道のCD売り場ではいつものお仕事を実施

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