となりの電話 山木康世 オフィシャルサイト

ほうぼうとHOBO

2010年02月23日 | カテゴリー: ミュージック・コラム 

ほうぼうという魚の塩焼きを食べた。雪のような色白の肉は淡泊な味で飽きない。

ほう‐ぼう【魴・竹麦魚】
ホウボウ科の海産の硬骨魚。全長約40センチメートル、体は紫赤色。胸びれは特に大きく、内面は鮮青色で美しい斑点がある。胸びれ下部に、感覚器を具える鰭条(きじよう)の変形した3本の指状物があり、これで海底を歩き餌を探す。美味。鰾(ふえ)=うきぶくろで音を発する。本州中部以南に分布。
[広辞苑第五版]

食べたほうぼうは八角のようなお顔立ちで20センチほどしかなかったが、なんとお腹から開かれないで背中から見事に開かれて、鰾らしきものが見えていた。確かに我も裂かれるのだったら腹よりも背中の方が良いかと思ったりした。

海底をはって餌を探すと言うから、泳ぎが得意な魚にしては効率が悪い。しかし我らの先祖もこのほうぼうのように海底をはって、そのうち陸に上がってきたのかもしれない。そんなことを思ったら妙に親しみがわいて、ご苦労さんと言いたくなった。

2月の寒風の中ほうぼう彷徨って段ボールで暖をとっている人たちに町のお風呂屋さん、誰か2週間に一度で良いから無料で風呂に入れてやってくれないかなぁ。
I 東京都知事はオリンピック招致に何百億という税金をつぎ込んだそうだ。結果はご存じ敗れて海の藻屑と消えてしまった我らの税金。
少しの金を回して風呂に入れてやれないもんかなぁ。寒くて眠れない夜をジッと見つめている街のホーボーがいることを忘れないようにしたい。好きで皆が皆、堅くて冷たい地べたに寝ているんじゃないだろう。好きでドロドロに汚れた服を年中着ている訳じゃないだろう。人間なんだもの。でもいつ何時我らも分からないよ。だからせめて気持ちだけでも彼らに馳せてあげよう。

野良犬HOBOの唄のワンちゃんは乗り物酔いしてジャケット撮影の時、ダウンしていた。アルバムのワンちゃんの尻尾が物語っているだろう。それをあきれ顔で近所の猫が、塀の上から盗み見しているとは知らなかった。
ワイワイガヤガヤしながら撮ったカメラマンの大川さんも今では鬼籍の人になってしまった。

以上ほうぼうを生まれて初めて食したので、そのついでに書いてみた。

(山木康世)