お節介と親切2
2010年06月17日 | カテゴリー: ミュージック・コラム
バスで通勤、やがて車内に流れるアナウンス。女性の声のテープが流れる。そのアナウンスが終わらぬうちに運転手の声が流れる。これはお節介、本人は気がついていないがうるっさいのだ。仕事熱心なのか、はたまたあまり忙しくない暇をもてあましてのことか。全国のバスがワンマンカーになって車掌さんがいなくなったのは合理化の津波の到来からであろう。
昔は車掌さんが必ず乗降口に立っていてアナウンス、切符の販売をしていたものだ。女性が多かったがたまに男性の車掌さんがいたりする。名物車掌さんもいて、車内が和んだモンだ。車掌さんは忙しい、次の駅名を告げなければならない。切符を買っていない人に切符を売る。あの小型の黒の革バックを首からぶら下げて、パンチでパチンと印を入れる。道も今ほど良くなく砂利道が多かった。揺れる車内をつり革を操って声をかけて歩く姿が鮮明に残っている。実にエネルギーあふれる情景である。客だってジッとしていられない。揺れる道路につり革に、どこかに手をしっかりついて転ばぬように保持することに懸命だ。もっと揺れないバスに乗れないものかしら。道路も穴ぼこだらけ、雪が解ければぬかるみ、乾けば埃で目も開けられない。
ずっとそんな時代が続いていた。そのうちカセットテープなる代物が安価で誰でも利用できるようになって、人減らしが始まった。しかし案内はできても、車内の人への配慮やサービスに行き届くはずもない。そして誰も聞いているようで、アナウンスを聞かなくなった。おまけに若者はヘッドホンで耳を塞いでいる。
道路は整備され、確かに乗り心地は格段に良くなった。しかし人間はと言えば合理化、合理化でお金には換えられない、人が寄り集まって一時共有する空気感が消滅した。果たしてこれは会社として、国としてプラスなのかマイナスなのか。
ちなみにバスの乗り降りは前ドアか後ドアか。先払いシステムだと前ドアからで東京ではこれが一般的。後払いは後ドア乗りとなる。これは札幌では一般的。どちらが良いか?前ドア後払いシステムは、後ドアが開いた時、良からぬ客がそのまま失敬して降りてしまう可能性がある。故に前払い後ドア降りが事故が少ないと見た方が良い。
To be continued
(山木康世)