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端午の節句

2025年05月05日 | カテゴリー: 山木康世 

今日はこどもの日。端午の節句。心に鯉幟を打ち上げよう。
雪の溶け始めた5月の風に乗って翻る6匹の鯉幟。東京の節子叔母さんからのプレゼント。
冷えて冷たい畳の上に母が広げた新聞紙にくるまった吹き流し、緋鯉、真鯉たち。オレのは一番最後の小さな鯉だ。黒が基調の鱗模様だったのを覚えている。
叔母さんは遠く離れた大都会東京で山の中の姉さんの家の生活を考えて贈ってくれたんだな。長い半年の冬の暮らしは想像を絶する他と隔離された世界。雪が溶けて春の初まり。子どもたちの嬉しい顔を思って贈ってくれたんだ。と思いたいが真相は闇の中。
中国人と結婚して大久保界隈で中華料理店を営み、離婚、ブラジル人と再婚したのを覚えている。波乱万丈の人生を送ったようだ。
鯉幟を見ると節子叔母さんの笑顔を思い出す。母からすれば国家公務員の地味な生活、妹の恋多き華やかな東京の生活をどう思ったことだろう。叔母さんの晩年は京都でアパート一人暮らし。仏像の世界に執心、生きていたようだ。
みんなが生前中は、そのうち時間ができたら色々と聞いてみたいと思ったことが聞けずじまい。惜しいことをしたと思う事柄の一つだな。
ご両人とも漁師網元松太郎さんの娘たちである。

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