新宿永谷ホールFu-はどうしてFu-?
2025年10月21日 | カテゴリー: 山木康世
西武新宿線の始発地は西武新宿ホテルがある通称ぺぺビル、新宿歌舞伎町の勢いがここの線路によって断たれる。その線路沿いの沿線風景は昔の痕跡を留めて独特の味わいを出している。駅から歩いて沿線直ぐにFu-の青い看板が目に入る。ここが永谷ビル。ここの永谷さんはどうやら不動産屋さんで理念を持っていて芸人の育つ根拠地にしたいというものだ。と楽屋の壁の張り紙に書いてあったような記憶がある。
昨日は落語の催し物があったようで、そこを訪れたお客さんが今日の日を知って来られたという話を伺った。僕は全く思っていないのだが、世間の75歳のバースデーライブというイメージは相当な老齢な弾き語りシンガーという感じであろうか。
そんな噂話をよそに今日はバースデーライブ初日ということでアマチュア時代の歌、なんと50年以上、つまり半世紀前に作った歌20曲オンパレードと相成った。まぁ自分で言うのも可笑しいが今とさほど変わっていないビル建物の外観であるな、という印象であった。しかし住んでいる住人は大いに風貌容姿は変わっているし周りはドンドン変わって行くのが現状である。歌の特に歌詞は原形を留めている。しかし歌い手の心理は天と地の違いもあるほどの時間的経緯がある。つまり昨日と少しずつ変わって行くシワの深さ、長さ、頭髪の有無、目や耳、歯などの衰えによる時間的経過で50年前と偉い違いのヒトがそこにいる。そ
の人が醸し出す歌曲、これは相当に面白い体験なのであるな。機械やAI技術では成し得ないその場でしか成し得ない事実、実に興味深い事実なのである。本人が言うのであるから間違いがないが、熟成、発酵などに似ているかも知れない。一歩間違えば腐敗ということにもなり得る事実。
昔と今の渾然一体。表裏一体と化した2時間であった訳である。これは一つのドキュメント、即席では作れない時空間、未だ解明されていない脳という生命維持装置器官が作り出している生き物の世界の奇妙で、はたまた理性的な現実空間の経験は金銭で買うことの出来ない財産であるような感じに見えてくる。
日が明けて2日目の今日は、より今に近い時間内に作ってきた歌たちの2時間としたい。
すっかり10月の中旬の顔をした西新宿歌舞伎町でドキュメントの出来る幸福感を味わいたいと沸々と心底思っている丑三つ時を後にして、もう寝ます。
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