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新宿歌舞伎町永谷ホールFu-山に逃げよう!

2026年03月15日 | カテゴリー: 山木康世 

かなり古い建物と思われる。建物1Fホールの入口のドアを開けて中に入ると、いわゆる湿気の多いこもりがちな部屋によく見られる臭いがする。おそらく何十年という風説に耐えてきた臭いである。床から壁一面、天井にこびりついた臭いはそんじょそこらの換気扇で取れるというものではない。尺高のステージも決して良好とは言えない。ここに何人の芸人、音楽、落語、漫才などが行われてきたことだろう。慣れてしまえばなんということはない臭いとは裏腹にステージの使い勝手は良好である。大仕掛けのステージで繰り広げられるショーとはいささか趣が違う、小さなホールでの芸人の心意気は如何に。自分といつも対話をしながらのナイーブな言葉の端々に発せられる「てにをは」。ギターの指板から弾き出されるオタマジャクシは歌舞伎町という日本一娯楽の街の中空を泳ぎ回る。
15年前の新宿の空は果たして大丈夫だったのだろうか?本当に春を迎える青空だったのだろうか?あれほど日本が怯えて震えて疑心暗鬼、将来に不安を覚えた日々はなかった。しかしその後10年も経たないうちにパンデミックに世界が落とし込まれるとは、そしてオイルショック。僕の還暦まで社会は朗らかだった。バブル景気の二の舞を踏むまいと肝に銘じてそこそこやってきていたような感じの社会だった。
若い人たちに終末思考が強いと先日聞いた。時代や世界が大きく変化している中、本当に時間のかかり過ぎの世の中ではないか?助かるヒトももしかしたら通販暮らし、出前暮らしで一歩も快適無臭の綺麗な部屋から出ないで他人との接触ゼロで自らを弱めていってないか?
西新宿副都心の高層ビルを眺めながらの「あんさんぶる音」とは同じ新宿と思えない雑多でエネルギッシュな歌舞伎町にいると不思議なパワーが湧いてくる。
黙っていては始まらない。それでも時間はどんどん過ぎてゆく。
松虫たちが教えてくれる人の一生の大事さ、儚さ、刹那、「僕らは山に逃げよう」なんかあったらタンスの通帳など取りに戻らないで一目散に山に逃げよう!

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