東京都目黒区ギャラリーあるかぶるにやってきたアリさんたちの詩
2026年02月19日 | カテゴリー: ミュージック・コラム, 山木康世
~中目黒 立春の譜を ひろげたり~
アリは実に自分の体重の何倍もの重さのものを持ち上げて巣の中へ運び込む。アリは一匹では社会を構成しない。生きていない。生きていけない。巣の中に君臨する一匹の女王アリのために、文句も言わずセッセセッセと運び込んでいる。これは兵隊アリだな。女王様が産んだ卵を育児や水の調達などを行うのは働きアリ。大きな群れ、コロニーで生活する昆虫である。
世界中の総数を計ると2京匹で総重量は1200万トンというから驚きだ。植物の種子運搬、土壌の撹拌などを行って生態系の重要な役割を果たしているという。中には殺人アリなどもいて穏やかではない。
僕はある日、父の花畑の通路に見つけたアリの巣を飽きることなく見ていたのは30歳の頃。それから、この巣を上から塞いだらどうなるのか興味を持って、アリさんたちには悪いけど足で土を穴に被せてみた。アリたちに混乱が起こって右往左往していた。しかしやがて何事もなかったかのように元の秩序を回復して穴を戻して働き始めた。本当に感動した日だった。
それから十数年後阪神淡路大地震が起こったとき、この日のことをなんとなく思い出していた。天上からの鉄槌はあの日の僕の人間の足。やがて文句も言わず元の回復をやってのけたアリたち。
会場には見知らぬ人たちが集まってくる。どんな人が来るか分からない。どんな人にも対応できないようでは会場としては失格である。トイレ、階段、室内の環境、雨や風や雪への対応。数えたらきりがないほど考えついて始めて対応できる会場を貸し出さなければならない。人間は誰でも年を取って足腰などが弱くなる。アリたちの寿命は1年ほど、しかし人間は70年ほども生きなければならない。
「ありさんの唄」は32歳の頃の歌だが、今考えると実に重要な歌だった。こんな詩を残しているかどうかで、YAMAKINGSの顔は変わってくる。
今まさに必要な歌の一つかもしれないなと思って、アリの巣のような掘り下げただけの殺風景な会場で歌い上げた目黒ギャラリーあるかぶらの日だった。
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