となりの電話 山木康世 オフィシャルサイト

灰色の精神

2010年03月24日 | カテゴリー: ミュージック・コラム 

名古屋がおもしろい。
名古屋は東京と大阪の中間に位置する大都市。織物繊維問屋が多く、お嫁に出すときの親の一世一代のお土産、誠にうまい味噌カツ、味噌煮込みうどん、天にそびえる金の鯱鉾で有名な名古屋城のあるどえりゃー都市だ。彼の有名な織田信長、豊臣秀吉、徳川家康がそろって入城している。

デビュー直前大学の友人が就職していたので、京都に遊びに行く途中、社員寮に泊まりに行ったことがある。北海道の人間が名古屋、大阪に就職するというのはそのころ余程のことで、珍しかった。道産子が海を渡って行く先は東京が圧倒的に多く他はあまり聞いたことがなかった。
翌日生まれて初めて名古屋城を見に行った。その時にこの事実を知って驚いた。若さからくる世間知らずひな鳥の驚きだ。

まず先の3人が
織田1534~1582尾張生まれ
豊臣1537~1598尾張生まれ
徳川1542~1616三河生まれ
徳川が生まれたとき織田は8歳、豊臣は5歳
織田が48歳で死んだとき豊臣は43歳、徳川が40歳。
ちなみに
織田48歳
豊臣61歳
徳川74歳まで生きている。
3人が同じ時期に生きていたという驚きの事実。日本史の中でもずば抜けて有名な3人が同じ時期ということは、この時期がいかに日本にとって重きのあった時代であるということか。1534年から1616年までの82年間、今から400数十年前のころの天下取りの話。
そして3人とも今の愛知県生まれということを知った。

3人が生きていた400数十年後の名古屋の議員は年収1600万円を800万円に。つまりひと月133万円を66万円ほどに。75人を38人に減らそうと市長は提案、市議は反発。否決されたら庶民が署名活動をして議会を解散させる見通しと市長は意気込む。
議員はそろって反対、市長は市民を味方につけて議会改革をしようとしている。反対の議員は市民の血税を支払い側の市民に今まで通りよこせと言ってるようなものだ。考えたらおかしな話だ。市民から選挙で選ばれた代表が、市民を敵に争うという話は矛盾に満ちている。誰のための議会、議員なのか。果たして署名活動で市長の改革が市民の声として日本中に響き渡る日が来るのか。
中庸を美徳とする日本人の和の精神が試されている。白でもなく黒でもない灰色の精神。
他国の議員の意識はボランティアが基本だというが、それは西欧の話でアジアではどうなんだろう。

ご霊前は故人がまだあの世に行っていないので灰色の筆でお布施に名前を書く。確かに肉体は息をひそめたが魂は浮遊してるかもしれない。
ご仏前は故人があの世に完全に行ってしまったようなので黒の筆で書く。
ということも最近知った。
灰色の霞んだような色で書かれた灰色の名前の意義を知った。
なんとも配慮の行き届いたこまかい気遣いである。
子供のころ親たちは近所の人が亡くなると、いちいち墨を擦って筆でのし袋になんか書いていなかった。第一きちんとしたのし袋なんか用意していたのだろうか。今ではすぐにコンビニで買える。それも種類が多くて感心してしまいどれを買ったら良いか迷うことも多々ある。筆ペンなど無い時代、鉛筆か万年筆で書いていたような記憶がある。灰色のペンの故人への配慮などは筆記用具会社の陰謀にも見えてくる。

東京を白、大阪を黒にたとえると名古屋は中間にあるので灰色ということになるのか。ちなみに新幹線でノンストップ2時間で着いてしまう。
白でもなく黒でもない灰色の精神は時代遅れなのか、それとも本当に今こそ必要な精神なのか。
織田さーん、豊臣さーん、徳川さーん教えてくださーい。

(山木康世)