となりの電話 山木康世 オフィシャルサイト

足のこと故、悪しからず

2010年03月30日 | カテゴリー: ミュージック・コラム 

愛着のものはありますか?

親からもらったもの、人からもらったもの、子供からもらったもの、拾ったもの、自分が買ってずっと大事にしているもの。
他人から見ればなんと言うこともないないたわいのないものから、高価なものまで幅広くその人にとって拠り所としているものはあるモンですね。
僕は親からもらったものと言えば、父が若い頃かぶっていたハンチングがあります。これは若い頃の父の写真を見ると確かにかぶっております。母からは形見のようなものはありませんが、母が生前趣味で革の染め物をしておりまして、そのときに作ってもらったネクタイが2本ほどあります。これを手にするたびに学生だった頃の自分を思い出し、母の楽しそうな姿が目に浮かんできます。

自分が手に入れて今大事にしているものに西独製の革製シューズがあります。
7年ほど前、札幌のTデパートで入手したものですが、これは一目見てイケルと思って買ったシューズです。少し編み上げですがそれほど深くなく、軽く、履き心地張抜群です。元はウオーキングシューズらしいのですが、僕はもっぱらそれをステージで必ず履くというジンクスをでっち上げました。徐々に片側の底が減り始めいつしか明らかに分かるほどの減り方をしました。僕の癖は斜め後方が減ります。外側に体重をかけて歩く癖なのですね。
ある時一計を案じまして東急ハンズで底を修理する専用糊を手に入れ整形しました。一昼夜ほど乾かして見事に修理されたかと見えましたが長続きせず半年ほどでまた元に戻りました。全国各地行き先ざきで機会があるごとに店を探してみたのですが同じシューズは見つかりませんでした。ホームページでも調べましたが見つかりませんでした。
先日、近くの鍵の複製をする店に家の鍵を作りに行きました。午後に受け取りに行った際、靴の修理もするとのことで相談しますと値段も手頃でかなり元に戻してくれるとのことでした。早速持ち込みました。
見事翌日シューズの底は複製よみがえりました。主人が話すには、かなり堅い素材でできているので大丈夫、持つでしょう。また減ったらいらっしゃい。
3度目の底を修理復元されたシューズは履いているのも忘れるくらいなじんでいます。革製品はますます味が出てきますね。使った経緯、大げさに言えば自分の歴史が刻まれている。この靴で雨の日、雪の日、海岸を、山をどれほど歩いたのだろう。

靴は様々な歴史をたどって今日に至っています。
昔の人は裸足で、草鞋、草履、木製、布製、ゴム製、革製などなど人の体重をまともに受けてご苦労様です。
買ったときのスマートで型くずれなどしていないシューズではないけれど、まさに自分の足の分身。多少くたびれては来ましたが、ますます味を出して行きたいものです。
昔口癖のように言っていた「スルメのように噛めば噛むほど味のある人になりたい」「靴のように履けば履くほど馴染む人になりたい」
最近歩くことの大事さ、歩けることの幸せ、大事に使おう足と靴。自分の足のこと故、悪しからず。
(山木康世)