となりの電話 山木康世 オフィシャルサイト

いわき風の森後始末記

2010年04月19日 | カテゴリー: ミュージック・コラム 

なんのご縁か分かりませんが、なんと1年に4度目のライブでございます。
右手の穏やかな太平洋を見ながら日立を北上すること2時間、福島県に入りました。ちょうど1年前、初めて「風の森」でライブをした帰り道、「勿来(なこそ)の関」に立ち寄りました。関の入り口に鎮座しております源義家を初めて見たときから「弁慶と義経」の構想ができあがっていたのかもしれません。沸々と僕の内部からわき上がってくる息吹のようなものがあったのかもしれません。

僕の今までのライブと決定的な違いを作ってくれた「弁慶と義経」。僕は今この歌からエネルギーをもらって生きております。まさに高校生の頃あこがれたフォークギターへの憧憬が、形となって各地に痕跡を残して生きておるのでございます。ギター弾き冥利に尽きる歌を作れた幸せをかみしめるところです。
この種子が「勿来の関」に落ちていたのでございましょうか。悠久なる遙か平安時代の歴史のロマンを平成の琵琶法師のごとくジャンジャンジャーン。

やはり人と人の相性や相似性は大事でございます。いくら店が良くて音が良くてお客さんが入ったとしても、そこの主と僕との関係が希薄であれば、すきま風が吹いて寂しものでございます。
人が大勢集まる場所にはある種のエネルギーが生まれます。人いきれとでも申しましょうか得体の知れない宇宙からのエーテルのようでもございます。
「風の森」にお越しの皆様、お忙しい中まことにありがとうございました。
ライブ後はギター談義の話に花が咲いて、昨夜と言い今夜と言い、当時中学生、高校生だった子供たちが長い時を経てワイワイガヤガヤ、誠に楽しゅうございました。

「風の森」のマスターの変わらぬフォーク人生にも惜しみない拍手でございます。
盆踊りである福島のじゃんがら念仏、沖縄のエイサーとのつながりも不思議な縁を感じます。歴史は繰り返し蘇り去ってゆく。ご先祖様と合唱、合掌。
(山木康世)