となりの電話 山木康世 オフィシャルサイト

大阪五番街後始末記

2010年05月03日 | カテゴリー: ミュージック・コラム 

「♪春の雷に 白い花が散り 桜花吹雪 風に消えて行く♪」
ささやきというよりつぶやきだった。大阪ライブの最後の歌はお客さんとの信頼関係の元「春雷」で締めくくった。

30年前、東京は南青山グランドハイツ3階のとある部屋の深夜、3畳間寝室ビールケースで作った自称サッポロベッドの上であぐらをかいてギターを片手に歌を作っている。深夜、声を張り上げて近所迷惑も顧みず作曲など出来るタイプではない。音楽は押しなべて大音量で聴かなくてはならない、などということはない。適当な音量というものがあるのだ。フォークギターはただかき鳴らすだけで良いというものでもない。最小音量、中音量、最大音量と心のおもむきを醸し出すのも良いモンだ。いつもいつも120パーセントでは疲れる。

僕が作ってきた歌はつぶやき、ささやきが基本であった、ある。と近頃気づき始めている。確かに今でも日常生活でも自問自答が多い。考えたことをすぐに口にするタイプではない。牛が食べたものを何度も反芻するように僕も反芻することもたびたびだ。そして飲み込んでしまうこともある。
深夜、飲み込まずポロリとはき出された言葉たちがメロディーにからみつき出来た歌たちが、今でもライブなどで歌われているのだ。僕の作り出す歌の本性はつぶやきなのだな、と分かってきたというわけさ。声を張り上げてのメッセージやプロパガンダを言ってないのである。僕には実に心地の良い音楽である。しかしあまりつぶやき、ささやきが続くと健康に良くない。
押したり引いたり、緩急自在にライブの妙を作り上げることはおもしろい。今後どのように変化、進化して行くのか興味津々である。
さて出かけるとするか。渋滞は果たして? 瀬戸内海を渡って四国は高松を目指そう。

5th streetにお集まりのみなさん、どうもありがとうー、僕のつぶやきを最後まで飽きずに聴いてくれて感謝します。マスター、お店のスタッフさん、駐車場まで荷物を持ってみなで送ってくれて助かったよ。フラリと立ち寄った北の旅人さん、お父さんにきっと会えるよ。と手を振りながらつぶやいた。
(山木康世)