となりの電話 山木康世 オフィシャルサイト

恐怖のツベルクリン反応

2010年05月13日 | カテゴリー: ミュージック・コラム 

朝のワイドショーで「小学生女子に子宮頸ガンのワクチンが予防のため打たれました。接種希望者は7割でした」というニュースを聞いた。解説者のTは「性交渉に因って発症します。小学生の高学年くらいになると考えられますので良いことだと思います」と解説していたが、本当に今時の小学生は高学年になるとそんなことまで常識なのかい、と自問自答。進んでるー。

子供の頃のツベルクリン接種は怖かった。結核予防のために国が取っていた措置だとは思うが、毎年あったような気がする。BCGという言葉を聞いただけで、翌日の反応がどうなっているかどうか考えてしまい眠れなかった夜を思い出す。
2日後の朝、起きてパジャマをめくって腕に打たれた注射の後を見る。赤くそれなりに広がっていれば合格。広がっていなければ更に痛い痛いBCGが待っている。直径が10センチ以上が陽性、それ以下は陰性→B!C!G!
学校に行くと皆が腕を見せ合っている。「俺はこんなに大きく広がった。大丈夫だ!アハッハ」とニコニコ顔のやつ。「大丈夫かなぁぁ?」と不安げに腕を何度も何度も見るやつ。
やがて全員が名前順に並んでノギスによって計られる。恐怖の結果発表である。反応の小さなやつは指を二本立てて人に隠れてピシッとたたいたりしている。それほど皆注射はイヤだった。BCGなどになったら逃げ出し、しばらくほとぼりが冷めるまで病欠だ。そんな覚悟のやつもいただろう。罪なツベルクリン反応である。しかし本当に罪作りで近年に予防の効果はほとんどないと言うことで、廃止になったという。外国ではとっくに廃止されていたという。
ツベルクリンに限らず学校の行事で嫌いなものの横綱は「身体検査」であった。その頃の僕は「骨皮筋衛門」(ホネカワスジエモンと読み、ガリガリくんの代表格の言葉。この言葉を考えた先人に座布団100枚。骨と皮と筋だけの人である。相当に怖い。この言葉は父から教わった)骨と皮と筋が体重計に乗ることの恐怖。それも衆人の目の前で確認されることの屈辱感を誰が想像しよう。今ではまるでまるでまるで考えられない贅沢な屈辱感の遠い思い出の日々である。

幼い頃から予防でワクチンが接種されて、いろいろな病気の根絶につながるなら早急にするべきであろう。しかし怖いのは、人それぞれが持っているアレルギー反応というやつである。接種による副作用は神様にしか分からない。
人に頼らず、最後は自分の毎日の生活態度如何が幸せの種子の育ち具合と言うことなのだろう。
それにしても小学生高学年女子の実態は本当の話?男子の話も聞いてみたい。

さぁ明日から寒い北海道へ。桜がまたまた見られる幸福に感謝です。
(山木康世)