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晩秋情景

2009年10月19日 | カテゴリー: ミュージック・コラム 

「嶺上開花」の中で好きな歌の一つだ。そりゃ全部好きだけどね。手前味噌で申し訳ないね。2005年12月06日(火)に創ったと記されているので55歳の時の歌だ。
今の音楽界でこの世界を醸し出しているのは自分しかいないと自負する。良い詩が出来たと小躍りしたのを覚えている。
一人の旅人がいる。遠く故郷を離れて何年になるのだろう。すっかり年を取ったもんだ。髪にも白いモノが増えてきて、地肌が透けて見えるようになった。若いつもりでいたが、皆と変わらぬ法則に従って年老いた。今は晩秋、私の季節は今いつ頃だろう。夏はとっくに過ぎた。秋も過ぎようとしているのか。冬になったらどうなるのか。春はもう来ないのか。
ダリア好きな旅人も100年を生きられず去っていった。しかしこの旅人を見ている限り秋や冬は来なかったように見える。夏のままで時は止まっていた。好きなことをやることのすばらしさ。誰のためでもない、自分のために生きることの出来る幸せを存分にかみしめて去っていったような気がする。私もそうでありたい。

「晩秋情景」

Am     G   Am   C Baug  E7
北風ピープー吹いてくる 私は一人泣いている
Am  C  Dm7  E7 Am D7   Am 
みんなどこへ行ったのさ 北風吹いてくる
C      BaugE7Am  C   Dm7  E7
聞く耳持たぬ薄情者 戻らぬ月日はどちらです
Am    G  Am 
静か静かにゆく月日

枯葉ヒラヒラ落ちてくる 私は夕空見上げてる
桜咲いたか春の夢 枯葉落ちてくる
雲はまにまに流れてく さびしき月はどちらです
侘びし侘びしは秋の月

水馬スイスイ泳いでる 私は心なくしてる
足を伸ばして縮めては 水馬泳いでる
流れる水かため池か 住むべき水はどちらです
出でよ出でよ誘い水

燕もスイスイ飛んでゆく 私は道で迷ってる
田圃澱んだ水の上 燕飛んでゆく
南へ帰る渡り鳥 正しき道はどちらです
迷い迷いの戻り道

霙シトシト降ってくる 私は星に尋ねてる
柿の枯れ木に烏鳴き 霙降ってくる
薄の穂にもおずおずと 無言の秋はどちらです
しとどしとどに濡れ地蔵

粉雪チラチラ降ってくる 私は浮かれ踊りだす
泣くに泣けない過ぎし日に 粉雪降ってくる
町に初雪終電車 愛しき人はどちらです
遠い遠い故郷よ 遠い遠い故郷よ 遠い遠い故郷よ