となりの電話 山木康世 オフィシャルサイト

ゆっくりじっくり野澤氏に向かって

2023年12月16日 | カテゴリー: 山木康世 

千歳に着いて時計を見る。4時である。すでに日は暮れかかり遠くの恵庭岳がボンヤリと白く光っている。
半年ぶりの北海道、思ったほど雪はなく気温もさほど寒くない。
旭川の野澤氏が亡くなって1年、葬儀の日には出席できなかったので今回liveで追悼する。僕がソロになって直に手紙をくれて、ぜひ旭川でやってほしいというものだった。手紙には店内を紹介する写真が2枚あったような覚えがある。
旭川はふきのとう時代、札幌、函館辺りとコンサートを行った街で、思い出は会館の裏手の冬の石狩川でジャケット写真を撮って、打ち上げで「やんしゅう」という居酒屋の前でスタッフ、メンバー全員でハイポーズ。あの頃の思い出がピークであろうか。母が亡くなった時には女将さんが香典をよこしてくれた。なぜかその時の店内の騒々しい音と共にこっそりと皆に気づかれないように渡してくれた女将さんの姿がクッキリと焼き付いている。あのときのコンサートでは野澤氏は一番前の客席にいたという。
そんなこんなを思いながらアーリータイムズを訪れると、あの独特のパーマの長髪で迎えてくれた。今後たびたび訪れる予感の初対面、弟のような感じで人懐こく音楽に関しては人一倍真剣だった。子供のころ、ふきのとうファンクラブで、自分が日本で一番若い会員ではないかと自負していたとその頃の会員証を見せてくれた。中学生だった野澤氏。ガラスケースに収めて大事にしていた、ふきのとう関係のチケットや年賀状に胸が熱くなった。
そんな昔のことはさておいて、新曲を楽しみにしてくれるいつも前向きな姿に僕も共感し一生懸命歌いに行ったものだ。
カウンターの中で今回も煙草をくゆらせて聞いてることだろう。貴君が好きそうな歌を用意して2時間聞いてもらおう。貴君がいないアーリーで歌うことが俄かに信じられない訪問であるよ。
まぁゆっくりじっくり冬の夜長、聞いてくだされ。

在りし日の野澤さんと

笑顔のふたり

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