やさしい五所川原の雪
2010年02月05日 | カテゴリー: ミュージック・コラム
白い冬を堪能している。ストーブ列車の暖気に包まれて、その上で焼いたうまいスルメを肴にストーブ酒に舌鼓。北国生まれの僕が今更という感じがしないでもないが、ここに降る雪はやさしいなぁ。子供だったころ札幌に降っていた雪だ。年月が経ったからといって雪に違いはそれほどないが、降った後の処理に大いに違いが出てきてやさしい雪の大地となる。
いつからか札幌の町中の路面はむき出しになるほど除雪車によりかき取り除かれる。一見夏のようなアスファルトの滑らない地面が良いように思えるが、自然はいつ何時牙をむいて襲いかかってくるか分からない。そのかきむしった路面は昼の太陽熱で溶け出す。そして夜になり凍り付く。その上をひっきりなしに冬用タイヤがこすって疾走する。その結果鏡のように路面がツルツルピカピカに磨き上げられる。とんでもないスケートリンクが繁華街にできあがる。歩行者はがに股歩きで転ばぬように大わらわ。これじゃ馬そりも走れない。走れなければ後ろに捕まって竹スキーで滑ることもできない。
昔は圧雪止まりで我慢していた冬の路面。これでいいのだ(赤塚不二夫風)。雪道は雪道らしく控えめに運転すればいいのだ。みなが控えめに生活すればいいのだ。みなが多少窮屈でも譲り合って歩けばいいのだ。
足下から雪を踏みしめるキュッキュッという幸せの音が聞こえてくる。やさしい五所川原の雪が足下で幸せのハミングしている。
山木康世