青空色のコンバース
2010年03月02日 | カテゴリー: ミュージック・コラム
♪お手々つないで 野道を行けば♪
雪が徐々に溶け出して、雪解け水が勢いよく道ばたの側溝を流れ落ちてゆく。やがて地面が見え始め、太陽の日差しを一杯に浴びて陽炎が立ち始める。待ちに待った春だ。足取りも軽く、スキップを踏んで口元からはハミングが…♪♪
先日、靴を左右間違えて履いて地下鉄に乗って出かけてしまった。先方に着いて、足元をよく見たら違うじゃあーりませんか。驚きだよね。しかし何の抵抗も違和感もなかった。靴とはおもしろいもので人の靴を履いたらすぐに分かるほど足癖が自分の靴についているもので本人はすぐに違和感を覚える。これを足の記憶という。
その昔、熊本でコンサートの途中、青いコンバースを買った。きれいな青空色のコンバースは一時僕の心を軽快にした。夜になって打ち上げで総勢20人ほどが座敷に上がってお疲れさんをした。
宴もたけなわ、いざ立ち上がり乱雑な靴の群れを探したらナイノダ。
お昼に買ったコンバースがナイノダ。どこを探してもそれらしき美しい真新しい青がナイノダ。
最後に残されていたものといえば履き古されたヨレヨレの黒いバッシュがひとつ。
驚きだよね。えー、これを履いてけって言うのかい、ひどいじゃないか靴泥棒。せめて九州ツアーが終わるまで履いていたかったよ。
仕方なく今頃ウヒウヒしている靴泥棒の靴を履いて帰り道を帰った。臭ってきそうな他人の靴は履き心地は悪く、気が重かった。と言いたいところだが案外そうでもなかった。酒が手伝って帰り道は他人になりすましスタッフともう一軒はしごをして帰った。
翌日の靴泥棒の靴の行方はまるで覚えていないが、あの居酒屋で最後に残っていたボロ靴は今でもしっかりと覚えているから人間の記憶はあてにならない。しかし、以上記したこともきっちり合っているかどうかも確信が持てないほど時間は経ったので覆(くつがえ)る、もとい靴帰ることはない。驚きだよね。
♪唄をうたえば靴が鳴る 晴れたみ空に靴が鳴る♪
(山木康世)