となりの電話 山木康世 オフィシャルサイト

熊本面白人物後始末記

2010年04月08日 | カテゴリー: ミュージック・コラム 

九州7日間ツアー1000キロの旅は無事終了。予想以上の盛り上がりで大変気をよくしての帰京である。大勢の皆さん、お世話になりました。ありがとうございます。

最終日熊本「ぺいあのPLUS」でのライブも静かではあるが内に秘めたる熊本県人の心意気ここに在りである。
「最後にこの歌をお送りいたします」。最後の演奏は始まり、そして終わった。
「よしっ!ところで何という歌?」
先ほど誕生日を場内皆でお祝いした、遠路はるばる福岡から駆けつけたという男性Kが暗闇から尋ねてきた。Kはずいぶん前にBBSに熊本に行くので自分の誕生日を祝ってほしい。できれば使い古しの弦などいただければ最高です、なんて書いていて覚えていた人物であり覚悟はしていた。使い古しではあるがプレゼントしたKである。
「『長距離運転』といいます。まぁファンの人だったら皆さんご存じの歌だと思います」
「良い歌だ。何のアルバムに入っているの?」
「静かに水の…元い、『泳いでゆくにはあまりにも水の流れが速すぎる』というタイトルで、32歳ですか、その頃に石川先生と一緒に作ったアルバムでファンの方ならみなさんご存じで、多くの方はお持ちだと思います」
実に良いタイミングで間髪を入れず答えが返ってきた。
「あっ、そのアルバムなら持ってる(場内大爆笑)」
・・・・複雑な気持ちで聞いていた。さらに、
「『思い出のスタンプ』をリクエストです!お願いします」何という大胆不敵さ。
「そのような歌は私にはございません、『消えそうなスタンプ』ならあります」
「あぁそれそれ」
またまた複雑な気持ちで歌い始める。少し調子を変えて歌ってみる。4拍子の消えそうなスタンプである。まだ思い出になっていないスタンプである。誠に頼もしいファンのリクエスト、大いに絶唱す。
「ターコイズナイト…」またもやKがしゃべっている。右手暗闇から聞こえてきた。気持ちは答えてあげたかったが時間も時間なので聞こえぬふりして「それでは本当に最後の…」。

リーン、リーン、リーン…
(鳴ってるぞ、早くでないと切れるぞ…)
今度は、左手最前列の男性が慌てた様子で内懐から薄青く光る携帯を取り出し、素早く音を消し、画面をチェック、懐に戻す。場内に複雑な雰囲気が流れ漂う。
「良いんですよ、気にしなくても、僕はあまり携帯に関しては厳しく言わない方です。もしかしたら家が燃えているとか家族が事故にあったとか、緊急電話もあるかもしれませんから、全然気にしてないですから。ただマナーモードにしておけば良かったですな…」場内爆笑、緊張の糸が切れて九州ツアー最後の歌「嶺上開花」と相成りました。

Kや携帯電話マンを始め、PAのA、自称弟子のT、ふきのとうからの長きにわたるファン、北の大地から応援に駆けつけたK、そしてぺいあのPLUSにお集まりの心優しき大勢のみなさーん、ご静聴ありがとう、ありがとう、また会おう!!
(山木康世)